雪街音楽メモ

聴いた音楽、気になった音楽、音楽の話題など、音楽のある日常を書きました。

CD『ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」』ブレンデル

多彩で優しく瑞々しい演奏

ラヴェル編曲のオーケストラ版も鮮やかなオーケストレーションが楽しめて素晴らしいのだが(サクソフォーンのソロをたっぷり聴けるクラシック曲も珍しいし)、ブレンデルのこのオリジナルピアノ版も、ピアノがこんなに多彩な音が出るのかという驚きに満ちている。
音はクリアで、ちりやほこりをぬぐったような澄んでいる。解釈はブレンデルらしく決して大仰ではなく、優しく丁寧に表現されていて、(ブレンデルのこれはラヴェル版に批判的な立場からの演奏であるといわれるのだが)ともすれば堂々と総称威圧的に演奏されがちな「展覧会の絵」をもっとソフトに、絵を眺めているときの熱く個人的な心の沸き立ちに似合った半径の音楽としてとても親密に感じることが出来る。

展覧会の絵」出版スコアでは、オイレンブルクスコアをおすすめしたい。ラヴェル編曲のオーケストラ・スコアと、同じ小節わりですぐ下にオリジナルのピアノ譜が併記されており、比較して見やすい。解説等も充実している(ラヴェル研究家のアービー・オレンシュタイン校訂・解説)。

収録曲

ムソルグスキー(1839-1881) 組曲展覧会の絵」 Pictures at an Exhibition
  1. プロムナード
  2. こびと
  3. プロムナード
  4. 古い城
  5. プロムナード
  6. テュイルリーの人々
  7. ビドロ
  8. プロムナード
  9. 殻をつけた雛のバレエ
  10. サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ(2人のユダヤ人)
  11. プロムナード
  12. リモージュの市場
  13. カタコンブ
  14. 死せる言葉による死者への話しかけ
  15. バーバ・ヤーガの小屋
  16. キエフの大門
リスト(1811-1886)
  1. 王の御旗
  2. スルスム・コルダ(心を高めよ)〜「巡礼の年・第3年」より
  3. 夕べの鐘〜「クリスマス・ツリー」より
  4. 祈り〜「詩的で宗教的な調べ」より