雪街音楽メモ

聴いた音楽、気になった音楽、音楽の話題など、音楽のある日常を書きました。

CD『フォーレ:レクイエム』コルボ

フォーレ:レクイエム(再プレス)

フォーレ:レクイエム(再プレス)

(1972年のミシェル・コルボ指揮、アラン・クレマン、フッテンロッハー、ベルン交響楽団の録音をデジタル・リマスターし音質向上させた再プレス新盤。Erato発売50周年記念エラート・アニヴァーサリー50 96KHz/24bit remastered)

ガブリエル・フォーレ レクイエム 作品48 Gabriel Fauré(1845-1924) Requiem, Op.48

いちばん辛かった時に聞けた唯一の曲。ボーイソプラノ聖歌隊男声合唱、柔らかい音に整えられたベルン交響楽団による、名演の誉れ高いコルボの旧録音(1972年録音。コルボはのちに再録音している)が好き……というか、最初からこの名演で馴染んでしまったので、ほかの演奏(たとえば混声コーラスだったりピエ・イエズスのソロが女声だったり)だとどうもしっくりこない。確かなテクニックやディーバの歌声もこのときばかりは過剰に生臭く思えてしまう。

絶望ではなく諦念と別れの痛み。永遠を得た確かさ。解放。暗闇に柔らかく光が差し込んでくるような転調……。

阪神大震災後もしばらくはこの曲と中島みゆきの「永久欠番*1しか聴けなかった。
震災では本のほか、大事にしていたCDが棚からこぼれ落ちてしまった。そして床に山積みになったそれらの上を平気で踏みつけながら歩けてしまった。そのときに割れたCDケースや傷が入ってしまったCDを見て悲しくなったのは一ヶ月くらい経ってからである。

音楽と人間ってどういう関係にあるのだろう。音楽は人間にとって絶対に必要なもの、と言い切れる? そんなことをそのとき思った。

【以上、2004年5月に書いた文章を再編集しました】

イントロイトゥスとキリエ 〜サンクトゥスまで。
D

収録曲

ガブリエル・フォーレ レクイエム 作品48 Gabriel Fauré(1845-1924) Requiem, Op.48
  • 指揮:ミシェル・コルボ Michel Corboz
  • ベルン交響楽団
  • ソプラノ:アラン・クレマン(ボーイソプラノ
  • バリトン:フィリップ・フッテンロッハー
  • オルガン:フィリップ・コルボ
  • サン=ピエール=オ=リアン・ド・ビュール聖歌隊
  • 1972年5月、ベルン録音(Erato)
  1. イントロイトゥスとキリエ Introitus et Kyrie
  2. オッフェルトリウム Offertorium
  3. サンクトゥス Sanctus
  4. ピエ・イエズス Pie Jesu
  5. アニュス・デイ Agnus Dei
  6. リベラ・メ Libera me
  7. イン・パラディズム In paradisum

*1:中島みゆきの「永久欠番」…アルバム『歌でしか言えない』(asin:B00005HYAP)収録。歌詞:http://www.miyuki-lab.jp/disco/lyric/ba249.shtml中島みゆき研究所