雪街音楽メモ

聴いた音楽、気になった音楽、音楽の話題など、音楽のある日常を書きました。

DVD『ニューイヤー・コンサート1989』 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:カルロス・クライバー

NEUJAHRSKONZERT IN WIEN

ニューイヤー・コンサート 1989

ニューイヤー・コンサート 1989

ウィンナ・ワルツの数々の魅力が楽しめる。

指揮者カルロス・クライバー(Carlos Kleiber。1930年〜2004年)は世界的指揮者エーリッヒ・クライバーの息子として注目され、

  • 流麗なタクトさばき、魅力的な演奏
  • 緻密な研究と、時間をかけたリハーサル
  • 極度に限られたレパートリー
  • 録音は極度に少ない
  • 実際に振ったコンサートも数少ない(要求する音楽水準に達せられない場合やオケとの方針が合わない場合はキャンセル)
  • 気難しい……

といったことで、つとに有名だと思う。
このDVDは、そんなカルロス・クライバーが初めてウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートに登場した1989年のもので(cf.ウィーン・フィルとの間のエピソード)、観客の熱狂的な歓迎と、それにこたえたかのような明るい指揮と華やかな音が印象的である。ウィーン・フィルの奏者もとても楽しそうだ。骨太で(軽やかに流れる演奏ではないとわたしは思う)生命感にあふれたウィンナ・ワルツやポルカの数々の魅力が楽しめる。
個人的には、

  • しっかり聞こえるのに軽やかに中に消えていくような3拍目と、
  • それを引き出す指揮

に注目した*1
なお、弦楽器の配置は左から

  • 第1ヴァイオリン
  • チェロ
  • ヴィオラ
  • 第2ヴァイオリン

になっている*2

*1:実際に演奏すると3拍目を「重くならず、軽く」演奏するというリクエストを良く出され、それにこたえるのが難しい。『聴こえないくらいに』とも言われるのだが、わたし自身はなんだかそれも違う気がしている。

*2:クライバーのこの配置は第2次世界大戦前に多く用いられていたものだそうで、現代のオーケストラの標準的な配置は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ(またはチェロ、ヴィオラ)、右側後方にコントラバス、といったものになる。配置の歴史的な変遷は吉成 順氏のhttp://homepage3.nifty.com/jy/essays/oke_form.htmに詳しい。