雪街音楽メモ

聴いた音楽、気になった音楽、音楽の話題など、音楽のある日常を書きました。

CD『ライア&ソネット』 村治佳織(Lyre & Sonnet KAORI MURAJI)

ライア&ソネット

ライア&ソネット

ギターと合唱の融合

村治佳織*1のCD『ライア&ソネット』(DECCA、2006年10月発売)を聴き直す。
ザ・シックスティーン」(The Sixteen)というイギリスの人気コーラス・グループと共演しているコラボレーションアルバムで、ギターの分野にとどまらず、〈パッヘルベルのカノン〉や〈ダッタン人の踊り〉等、クラシックの名曲を合唱とギターという新鮮な組み合わせを巧みなアレンジで柔らかく聞かせてくれる――どちらかというと合唱がオーケストラの伴奏パート的に後ろに回り、ソロ楽器的にギターがのっかってふわふわとメロディーを奏でる形の曲が多い。
ばりばりギターを弾く姿はこのアルバムにはないが、しかし、ギターと人の声、というクラシックの世界ではなんとなく思いも寄らない組み合わせが上手く融け合っている。綿菓子のような、ゆったりと流れていく時間。わたしは音楽に対して「癒し」を安易に使うのは嫌いだが、このCDに限っては、ストレスのない、美しい別世界に誘ってくれるまさに「癒し」である(疲れているときにはちょっと眠たくなる)。
なお、アルバムタイトルの『ライア&ソネット』とは"古いイギリスのことばで『リュートと歌(声)』という意味"(http://www.universal-music.co.jp/classics/kaori_muraji/discography.html#uccd1176)だそうだ。(ここまで2007/5/9記す)

収録曲

  • 1. 母さま、私は恋を抱いて(フアン・ド・アンチエータ)
  • 2. アルハンブラの想い出(タレガ)
  • 「ロマンセロ・ヒターノ」ガルシア・ロルカの詩による7つの歌〜第4曲:プロセシオン(行列)(カステルヌオーヴォ=テデスコ)
    • 3. プロセシオン(行列)
    • 4. パソ(歩み)
    • 5. サエタ
  • 6. おお何と栄光に満ちた王国なのか part1(ルイス・デ・ビクトリア)
  • 7. おお何と栄光に満ちた王国なのか part2(ルイス・デ・ビクトリア)
  • 5つの前奏曲(ヴィラ=ロボス)
  • 13. あがない主の恵み深き母よ part1(ルイス・デ・ビクトリア)
  • 14. あがない主の恵み深き母よ part2(ルイス・デ・ビクトリア)
  • 15. カノン(パッヘルベル
  • 16. 神は私たちを憐れみ(タリスのカノン)(タリス)
  • 17. 13のカタルーニャ民謡〜第13曲 盗賊の歌(リョベート)
  • 18. ブラジル風バッハ第5番〜アリア(カンティレーナ)(ヴィラ=ロボス)
  • 19. ア・ネグリート・デ・ククルンベ(G.フェルナンデス)
  • 20. ダッタン人の踊り(歌劇《イーゴリ公》より)(ボロディン

シェイクスピアテンペスト第4幕の1節を歌詞としている「ダッタン人の踊り」も大胆なアレンジだが美しくてよい。その他、アンチエータやビクトリアなど古い音楽もギターが入ることでより柔らかに聴こえる気がする。