雪街音楽メモ

聴いた音楽、気になった音楽、音楽の話題など、音楽のある日常を書きました。

CD『10弦の響(Les Dix Cordes)』 チョウ・チン+大萩康司

10弦の響(Les Dix Cordes)

10弦の響(Les Dix Cordes)

昨日id:galanthus:20081204:1228397256で触れたヴィラ=ロボス「ブラジル風バッハ」第5番アリアは、元来の編成(ソプラノ独唱と8台のチェロ)のほか、のちにヴィラ=ロボス自身が「ソプラノ独唱とギター」に編曲している。

そのソプラノとギターのための編曲が、ソプラノをチェロに変えて大萩康司のギターとのデュオでこのCDの1曲目に収められている。
チョウ・チン(趙静)のチェロも大萩康司のギターも静かに抑え目だ。しかし箇所箇所で感情が適度にほとばしり、聴いていて静かな感動がわきおこってくる。落ち着いた音色と細かく繊細に工夫された表情・表現により、「控えめな親密さ」といった感じだろうか、部屋にずっと流していても疲れたり飽きたりすることがない。

全曲どれも気に入っているが、個人的には12曲目のピアソラ「タンティ・アンニ・プリマ」が特に素敵だと思う。柔らかな美しさ(この曲の副題は『アヴェ・マリア』なのだ)と暖かさに心打たれた。