雪街音楽メモ

聴いた音楽、気になった音楽、音楽の話題など、音楽のある日常を書きました。

中島みゆき「愛だけを残せ」(映画『ゼロの焦点』主題歌) 激流のなか生きた証としての「愛」

  • シングルCDは11月4日発売発売。

愛だけを残せ

愛だけを残せ

  • 映画『ゼロの焦点サウンドトラックに主題歌として、本曲ならびにinstrumental編曲が入るそうです。

激流のなか生きた証としての「愛」

愛だけを残せ 壊れない愛を
激流のような時の中で
愛だけを残せ 名さえも残さず
生命の証に 愛だけを残せ

「愛だけを残せ」歌詞より

松本清張生誕100年記念の本年、来る11月14日公開の映画『ゼロの焦点』(犬童一心監督)の主題歌として本曲は書かれた。
清張の代表作の一つである小説『ゼロの焦点』はミステリでもあるのだが、戦後、時代に翻弄された女性たちの物語でもある。その物語に対して、中島みゆきは「愛」を提示した。

力強くドラマティックな仕上がり。悪く言えば大仰、かな。でも悪くない。
個人的な好みで言えば「二隻の舟」テイスト(アルバム『EAST ASIA』所収)*1のような感じにしてほしかったな〜、もうちょっとナチュラルに歌ってほしかったな〜と思うのだけれど(ちょっとだけガナリ気味だから)、声が乱れるほどにはガナってはいないし、硬質なサウンドと相まって壮大さは感じられた。歌詞は聴き取りやすく、ことばが胸に届いてぐっとくるところがあった。
また、中島みゆきの大ヒット曲「地上の星*2と少し似ている箇所もあるので、「地上の星」がお好きな方はこの「愛だけを残せ」も好きかもしれない。

シングルカップリング曲には、米倉涼子主演テレビ朝日系ドラマ「交渉人」の挿入歌だった「闘りゃんせ」。童歌をモチーフにした和風な感触のある力強い曲です。

なお、両曲とも11月18日発売のニューアルバム『DRAMA!』(asin:B002OI6FR8)には収録されていない。曲の依頼とアルバム制作のタイミングが合わなかったようだ。

おまけ 中島みゆきの、生きる証、手がかりとしての「愛」の歌…「愛だけを残せ」類似曲勝手にレコメンド

「たかが愛」(1996年)

僕はたかが愛に迷いそしてたかが愛に立ちどまらされても
捨ててしまえない たかが愛

柴田恭兵主演、テレビ朝日系ドラマ「はみだし刑事情熱系」主題歌。エレキギターが印象的な、明るく暖かみもある格好良いサウンド。男の愛を歌っています。壊れてしまったけど守りたい家族への、愛……かな。

「ただ・愛のためにだけ」(2005年)

これが始まりでも  これでおしまいでも
ただ・愛のためにだけ  生きてると言おう

元々は岩崎宏美デビュー30周年記念シングル曲。岩崎宏美中島みゆきは同じ1975年のデビューで、岩崎宏美が憧れていた(ファンだそうだ)中島みゆきに作成を依頼した。
その後、中島みゆき本人が歌い、2006年リリースのアルバム『ララバイSinger』に収めている。

CD『ポートレイツ』 村治佳織(Portraits - Kaori Muraji)

  • SHM−CD仕様、DVD付限定盤

ポートレイツ(限定盤)(DVD付)

ポートレイツ(限定盤)(DVD付)

  • 通常盤

ポートレイツ

ジャケットの絵柄は、初回盤と通常盤は違うとのこと。

部屋の片隅でギターを弾いてくれているようなサウンド作り、暖かみのあり親しみやすく優しい演奏

ギタリストとしての全てを賭けて挑んだ、村治佳織 待望のソロ・アルバム!
「ギターで聴きたい名曲たち」というコンセプトのもと、ギタリストとして考えられる、あらゆるテクニック(トレモロピッキングハーモニクス、ミュート、フラメンコ、パーカッシブ奏法など)を駆使して挑んだ会心作です。英国に敬意を表し、エリック・クラプトンとレノン&マッカートニーの各作品、坂本龍一の「戦場のメリークリスマス」「エナジー・フロー」など、ギター一本で信じられないサウンドを創出。以前から取り組んできた、武満徹の『ギターのための12の歌』は今回で完結。アンドリュー・ヨークの「サンバースト」は、イントロダクション付きの完全型で再録音。ビートルズの「イン・マイ・ライフ」では、名ギタリスト、イェラン・セルシェルが自身のアレンジを村治佳織に提供しました。バーンスタインの名作『ウェスト・サイド・ストーリー』からは「アイ・フィール・プリティ」「マリア」「アメリカ」をメドレーで。2010年のショパン・イヤーを前に、夜想曲第2番も収録、等々、大変多彩な内容となっています。

村治佳織 | Kaori Muraji - UNIVERSAL MUSIC JAPAN

限定盤(asin:B002L48GF4)を購入して聴いた。
上記の通り、耳馴染みのある有名な曲がほとんどだ。ピアノ曲・ポップス等。それらを村治佳織クラシックギターで弾いているのだが、どの曲も元のオリジナルよりも優しく小振りに、掌で慈しめるようなサウンドに仕上がっているように思う。それはクラシックギターの特性・特徴をうまく生かしているのだ、とも言える。元々、クラシックギターは他の楽器を圧倒するような大きな音量は出ない。部屋で弾いても騒音にならない。金属的ではない甘い音が出る。
そういったギターならではをうまく生かしているから、目を閉じればまるで村治佳織が(広めの)部屋の向こう側で弾いてくれていて、自分は片隅でいすに座って聴いている……といったサロンコンサートのような光景が想像できてしまうのだ。

弾き方としては、安定したテクニックで安心して聴けるのはいつも通りだが、どれもほんの少しテンポをゆっくりめに(もっと速く弾けるはずなのに)、タンゴなどをのぞけば音を柔らかく甘く、時にはややくすんで聞こえるような音色で演奏しているのがこのアルバムの特徴か。チューニングも甘めだ。それはあえて「わざとぴったり合わせてはいないのでは」と思いたい。チューニングのわずかなずれで和音が濁る。それゆえしぜん、強く澄むことなく柔らかくゆらぎのある音になるのである。

坂本龍一の曲をギターで演奏

どの曲も興味深いが、なかでも坂本龍一の「戦場のメリー・クリスマス」「エナジー・フロー」は音がすごくきれいに分離して聞こえて、でも暖かみがあって新鮮な驚きを覚えた。ピアノで演奏されるよりギターで演奏した方がぐっと半径が狭まる感じ。

「サンバースト」、時の流れ

アンドリュー・ヨーク作曲のギター曲「サンバースト」は再録である。

CAVATINA

CAVATINA

1998年発売で彼女がブレイクすることになったアルバム『カヴァティーナ』の1曲目にも当時の演奏が収められている。そちらは力強く、音は鮮やかな硬さを保ち、リズミカルで躍動するような「サンバースト」だ。*1
いっぽうで、今回の『ポートレイツ』ではイントロダクション(序曲)から演奏しているのが珍しく─ 一般に、イントロを省いた演奏が多い─、また、少し遅めのテンポにして音を優しく出している、穏やかな「サンバースト」を楽しめる。この二つのアルバムでの演奏の違いはアマゾンのレビューで、bunzoさんが詳しく指摘されているので参考にされたい。11年経過し、村治佳織の成熟を感じることが出来る。

村治佳織の成熟」、円熟について。彼女のこのごろのアルバムでは、彼女の10代、20代前半のアルバムに比べると禁欲的ともいえるくらい端正な演奏になっている。
素直に曲を解釈し、丁寧に、誠実に、激せず美しく弾く。
そういった彼女の演奏を「起伏に乏しい」「音量が小さい」(彼女は元々、大音量を誇るギタリストではないが)と感じ、好まない人たちもかなりいるだろうと思う。ただ、わたしは、彼女のこういった端正さは好きだし、これはこれで良いと思っている。
そして時折、一瞬にして日が差し込むように音色が移ろうのである。それまでの濁った柔らかい音から硬質な鮮やかな音に。そしてまたゆっくりと音色が変わる。そういった音色の変化がこのアルバムでは随所に仕掛けられている。それもまた彼女の演奏の成熟だろうと思う。

『ポートレイツ』収録曲

  • 1.戦場のメリー・クリスマス (坂本龍一:作曲/佐藤弘和:編曲)
  • 2.タンゴ・アン・スカイ (ローラン・ディアンス:作曲)
  • 3.ティアーズ・イン・ヘブン (エリック・クラプトン&ウィル・ジェニングス:作/佐藤弘和:編曲)
  • 4.ジョンゴ (パウロ・ベリナティ:作曲)
  • 5.エナジー・フロー (坂本龍一:作曲/佐藤弘和:編曲)

《「ギターのための12の歌」 (武満徹:編曲)》より

《「ウェスト・サイド・ストーリー組曲レナード・バーンスタイン:作曲/J.モレル編曲)》より

  • 11.アイ・フィール・プリティ
  • 12.マリア
  • 13.アメリ

村治佳織(ギター)
録音:2009年6月 イギリス、ポットン・ホール

おまけ アンドリュー・ヨーク自身が演奏している「サンバースト」

*1:他のギタリストたちもこういった雰囲気で演奏されているものが多いと思う。

NHKラジオまいにちイタリア語 応用編(木・金)「Salotto Musicale〜イタリア音楽への招待〜」

NHKラジオ第2では月〜金の朝7時45分から15分間、再放送は同日夕方の4時45分から15分間、「まいにちイタリア語」という語学番組を放送している。
そのなかの木・金曜日は「応用編」として、ピアニストの関孝弘氏を講師に「Salotto Musicale〜イタリア音楽への招待〜」というカリキュラムがこの10月から始まったのを知人から教えてもらった。全24回の放送だそうだ。

上記番組サイトで、先週放送分をストリーミング聴取できる(無料)。

イタリアの作曲家の紹介

第1回目の関氏のイントロダクションによれば、この応用編は

  • イタリア語と音楽の関係をとりあげる。
    • 音楽用語を通してイタリア人の感性に迫ろうという用語編
    • 様々な音楽の話題を通してイタリアの音楽をより身近に感じてもらおうという音楽編
      • イタリア人の作曲家を紹介していく。

といった内容になるとのこと。そして早速、アレグロ allegro のイタリア語本来の「意味」と、ガルッピ(wikipedia:バルダッサーレ・ガルッピ。1706年〜1785年。関氏によれば『モーツァルトの原点と言われている』とのこと)、チマローザwikipedia:ドメニコ・チマローザ。1749年〜1801年)というイタリアの作曲家がとりあげられた。

  • 両者とも日本ではほとんど知られていないが、ヨーロッパで走らない人がいないくらいのイタリアを代表する大作曲家。
  • 単にイタリアで有名だった作曲家というだけでなく、当時のヨーロッパの全土の主な宮廷は全てイタリア人音楽家が楽士長をつとめていた。当時は音楽家・芸術家であれば、イタリアで認められなければ活躍が出来なかった時代であり、イタリア語を話せなければスタートラインにも立てなかった。

といった説明。特にガルッピについては第2回目を丸々使い、ガルッピの50年後に生まれたモーツァルトと比較しながら、実際に曲を流して紹介されていた。

クラシックの音楽用語をイタリア語本来のニュアンスから考える=作曲家の指定を読み取って、演奏家はなぜそういう演奏をするのか。

allegroについて。
日本の音楽用語としては、Allegroは一般に「速度記号」として「速く」という訳・意味を与えられている。しかし、番組の中で関氏は

  • イタリア語本来の「アレグロ」allegro は、「陽気な」「明るい」「楽しい」、喜びとか幸せ感を表現する、速さとは全く関係ないことば

である、と説明する。
このように

  • 本来のイタリア語の持つ微妙なニュアンス 例文と音楽を用いて五感に訴えながら探っていく

ことを通じて

  • 音楽はイメージを表すもの。
  • 言葉が持つイメージは様々で、演奏者がその言葉からどんな感覚を感じるのか。それが音楽の始まり。
  • 言葉から広がるイメージを音にしていくのがとても大切なのだ。

……といったような、氏の考える音楽の話になっていくのだった。

上記のようなお話と実際の音楽が流れる15分間。
「音楽用語」としてのイタリア語と本来のイタリア語の違いは、楽典等にある程度触れたことのある人なら知っていることもあると思う。そのように知っている人は復習として、またそういうことを知らなかった人は初めての知識・イタリア語とクラシック音楽を楽しむ入り口として聴いてみると勉強になると思う。
また、イタリア人作曲家も日本ではなかなか聴けない作曲家の作品を取り上げてくださるようで、期待したい。たとえば昨日放送分ではレスピーギの珍しい作品が流れていた。

加藤登紀子「帆を上げて」素晴らしい(CD『ほろよい物語 加藤登紀子オリジナル曲集 1968-2008』収録)

加藤登紀子「帆を上げて」に衝撃を受ける。素晴らしい。

の続き。

ほろよい物語 加藤登紀子オリジナル曲集 1968-2008

ほろよい物語 加藤登紀子オリジナル曲集 1968-2008

1枚目の13曲目、「第4話・冬空の恋物語。」として入っている「帆を上げて」という歌。さっき聴いたらずどんと胸に衝撃が来た。歌い出しの一言目から。なんだろう、この衝撃……ものすごく(良い意味で)ショックだ……。*1別れの歌なんだけどサウンドも歌声もすがすがしくて、広大で、海にこぎ出していくような出発の歌でもある。『ほろよい物語』には、1981年発売のオリジナルアルバム『Out of Border』収録分が収められているようだ。

海の歌は良いなあぁ。……

加藤登紀子さんの歌を知ったきっかけ

わたしが加藤登紀子の歌をそれと意識して聴き始めたのは、

  • 中島みゆき作詞作曲で本人も歌っている「この空を飛べたら」を歌っている人だから

だからだった。
しかしそれは中島みゆきファンとしての逆転した物言いであって、正確には、「この空を飛べたら」はそもそもまず加藤登紀子への書き下ろし曲なのだった。1978年3月シングルとして発売され大ヒットしている─子供だった自分も知っているくらいに—。そしてその翌年発売の中島みゆきのセルフカバーアルバム『おかえりなさい』*2中島みゆき本人が歌ったのだった。

この「この空を飛べたら」は日本の歌謡曲としては珍しく3拍子の歌で、それは「騎馬民族のリズム」であると(日本の歌の多くは農耕民族の4拍子である、とも)、どこかで加藤登紀子は指摘していなかったかな。記憶違いだったらすみません。

紅の豚 [DVD] もちろん「知床旅情」や、「百万本のバラ」、ほかにも初期の歌や簡単な略歴なども知っている。映画「紅の豚」では声優としても歌声にも酔った。出演されたテレビ番組などもわりに拝見している。ずっと敬意も持っている。でも中島みゆきのファンであることに手一杯(?)で、加藤登紀子さんはみゆきさんよりも活動範囲(?)が広そうなので手を出さずに来た……という感じなのだった。

―聴かせていただいて、聴けば聴くほど「ほろよいコンサート」は、あと30年くらいは続きそうな気がします。
●面白いね。本当に、出来たら面白いね! 歳をとっても病気をしても、歌える自分でいたいですね。若い時とは確かに声なども変わってきていますけれど、そうした結果も受け止められるようになってきているから、大丈夫な気がします。神様しかご存じないことでしょうけど。

http://www.shinseido.co.jp/kiji/katotokikoint.html

まだまだ歌ってほしい!

*1:歌を聴いてこのような強烈な衝撃を受けたのはこれまでで、1.中島みゆき「世情」2.尾崎豊十七歳の地図」、以来かも。

*2:中島みゆき『おかえりなさい』おかえりなさい

CD『ほろよい物語 加藤登紀子オリジナル曲集 1968-2008』加藤登紀子

ほろよい物語 加藤登紀子オリジナル曲集 1968-2008

ほろよい物語 加藤登紀子オリジナル曲集 1968-2008

加藤登紀子の「ほろ酔いコンサート」のエッセンスを楽しむ。「酒は大関」が収録されている唯一のディスクでもある。

このごろテレビで、「酒は大関、心意気〜♪」という歌声と雨の中を稲垣吾郎さんが登場する大関酒造のCMが流れている。その歌声は初期の中島みゆきかと思うような声で、みゆきさんのファンとしては振り向いてテレビを凝視してしまうのだが、あの歌声は加藤登紀子さんで昔懐かし昭和46年田宮二郎さん出演CMのリメイクという凝ったものなのだった。そのあたりは特設サイト

にくわしく、当時のCMと現在のCMの両方を閲覧できるようにもなっている。なおCM曲「酒は大関」の作詞作曲は小林亜星。名曲だ。

その、加藤登紀子が歌う「酒は大関」が収録されている唯一のCDが、この『ほろよい物語 加藤登紀子オリジナル曲集 1968-2008』(asin:B001EB5BPI)である。
加藤登紀子さんの歌は好きだがファンといえるほどには熱心には入れあげておらず、くわしくは知らないので簡単に。
34曲2枚組収録CDで、全体を8パート(『8話』)の時期別・ライブ別に分けて構成してある。ブックレットがついており、歌詞のほか、簡単な解説付き。実際の「ほろ酔いコンサート」ライブ音源収録のものは臨場感が素敵で(音もきれいだ)、伝説的なコンサートの雰囲気を楽しめる。ベスト盤としても加藤登紀子の歌を味わえるものになっていると思う。

収録曲

Disc 1
第1話・それは「サヨナラ」からはじまった。
  • 1. ひとり寝の子守唄
  • 2. 美しき五月のパリ☆
  • 3. ゲバラ・アーミオ☆
  • 4. 知床旅情

※1972年7月25日 日比谷野音「さよならコンサート」

第2話・誕生という名の幕開け
  • 5. この世に生まれてきたら
  • 6. あなたの気配
  • 7. いく時代かがありまして
  • 8. あなたの行く朝
第3話・VIVA! 日劇ミュージックホール
  • 9. Freedom☆
  • 10. 色即是空
  • 11. 酒は大関
  • 12. 私のブギウギ☆

※1979年12月 日劇ミュージックホール「第7回ほろ酔いコンサート」ライブレコーディング

第4話・冬空の恋物語
  • 13. 帆を上げて
  • 14. 難破船
  • 15. 冬の蛍
  • 16. 駅
Disc 2
第5話・シアターアプルの世界
  • 1. 浪漫浪乱☆
  • 2. 時代おくれの酒場☆
  • 3. ない・もの・ねだり☆
  • 4. 酒がのみたい☆

※1985年発売ライブアルバム『酔夢』

第6話・薔薇と恋と革命と
第7話・めぐり逢い、遠ざかる日々
  • 9. わが人生に悔いなし
  • 10. 今あなたに歌いたい
  • 11. 時には昔の話を
  • 12. されどわが心
第8話・永訣からあしたへ
  • 13. 花筐-Hanagatami-
  • 14. 絆 ki・zu・na
  • 15. 檸檬 Lemon
  • 16. 自由に生きるってどんなことだろう
  • 17. Never give up tomorrow
  • 18. あなたに

☆ライブ音源

iMacのOSを「Mac OS X v10.6 Snow Leopard」にアップグレードした

タイトル通り、iMacのOSをこれまでの「Mac OS X v10.5 Leopard」から「Mac OS X v10.6 Snow Leopard」にアップグレードした。9月初旬にインストールしたため、かれこれ一ヶ月くらい経つ。

Mac OS X 10.6 Snow Leopard

Mac OS X 10.6 Snow Leopard

なお、実はこのMacは7月末に購入したため、

の「2009年6月8日以降に、Up-To-Dateプログラム対象のコンピュータまたはXserveを購入され、製品にMac OS X Snow Leopardが同梱されていなかったお客さま」という同プログラム適用条件に該当して、Snow Leopardを980円にて購入できてしまったのだった。わたしと同じような条件の方はプログラム適用期間があるとのことなので(http://www.apple.com/jp/macosx/uptodate/を確認されたし)、上記Appleのページから早めに申し込んだ方がいいですね。通常のアップグレードの場合、Appleのサイトでの販売価格で¥3,300です。¥980と値段がかなり違う。

で、アップグレードしてどうなのかというと、素人(?)Macユーザの実感としては

  • 起動やシステム終了、スリープ解除などが圧倒的に速くなった。
    • 起動などは数十秒程度ですんでしまい待たされるストレスがないので、これまで「起動が速い」という理由でよく使っていたネットブックを開く機会が逆にすごく減ってしまった。
  • Finderの細かい部分が便利になっている。
  • iTunesなどの動作がきびきび……。

などの全体的には特にスピードアップを実感している。
いっぽうで、これまで使えていたソフトや以前から公開されている有名ソフトがSnow Leopard未対応で使用・インストールできなくなっていたり動作が不安定だったりするものもあるのがちょっと不便だ。追々解決していくのだろうけれど。

楽譜作成ソフトウェア「Finale」の楽譜サウンドプレイバック機能「Human Playback」音の比較

Finale 2009

Finale 2009

Allegro2007

Allegro2007

楽譜作成ソフトウェア「Finale」の楽譜サウンドプレイバック機能「Human Playback」音の比較…「Finale」 vs. 同じシリーズの下位ソフト「Allegro」

のその後。
先日iMacに買い換えたことでやっとFinaleの動作環境の条件に達し(それまでのPCは条件を満たしていなかった……)、編曲などに使う楽譜作成ソフトを「Allegro 2007」から、「Finale 2009」に切り替えた*1


さて、「Finale」「Allegro」とも、

という、作成した楽譜を実際に演奏者が演奏したようなニュアンスを反映させてプレイバックする機能が備わっている。このプレイバック機能は以前にも書いたように、楽譜を書きながら都度、目からだけでなく耳でも確認できるため、たいへん重宝している。

音の比較

その「Human Playback」の楽譜からの再生サウンドを、使用する音源を変えてFinaleとAllegroで比較してみたい。

  • Finale…Finale独自機能の、サンプリングライブラリ音「Garritan Instruments for Finale」を使用*2
  • Allegro…「Human Playback」付属のソフトシンセ音、「SmartMusicSoftSynthe」を使用。

使った楽譜は、どちらもヘンデル「私を泣かせてください」Lascia ch'io pianga を自分でマンドリン・ギターアンサンブル用に編曲したもの*3。ソロ+マンドリン+マンドラ+マンドロンチェロ+ギターの編成で、その各パートの音をソフトシンセの音で聴きやすいよう下記の通り変更している*4ものの、基本的には両者とも同じ楽器の種類の組み合わせである。

  • ソロ(メロディー)…両者とも「フルート」
  • マンドリン、マンドラ、マンドロンチェロ…「Finale」のほうは該当パートごとにヴァイオリン・ヴィオラ・チェロと音を変えて指定。「Allegro」は各パートを別チャンネルに分けた上で同じ「ストリングス」音を指定。
  • クラシックギター…両者とも「ハープ」

また、

  • 楽譜は両者同じものを利用し、強弱なども含め変更はしていない。
    • 「Allegro 2007」で作成し、「Finale 2009」ではコンバートして使用。
  • 演奏の様式としてすべて「バロック様式」を指定し変更無し。
  • 音源の違いにあわせて若干パート間のバランス(ミキシング)とリバーブを変更している。
サラ・ブライトマンイージーリスニングっぽい「私を泣かせてください」
  • Finale

Download

  • Allegro

Download

バロック風「私を泣かせてください」
  • Finale

Download

  • Allegro

Download

Garritan(ガーリタン)の音を使ったFinaleの演奏の方が生き生きしていて力強い。が、Allegroの音でも楽譜の確認したりさらっと普通に聴く分には十分かと思う。逆に、人工的な面白さがあるというか。

楽譜作成ソフトとしての個人的評価

基本的な機能や操作感は、AllegroとFinaleはほぼ共通している—これはFinaleシリーズすべてに言えることで、だからソフトをバージョンアップしてもあまり戸惑うことなく使えるのだと思う—。プラスアルファの便利さや細かい付加機能はさすがにFinaleが優れているし、たとえばモニター上に見えていれば複数ページの編集が同時に可能であることは直感的で作業がはかどる。大編成のスコアや複雑な体裁の楽譜もFinaleのほうが作りやすそうだ。再生機能などで「遊べる」部分もたくさんあり、あれこれいじるのにはFinaleが楽しい。
が、シンプルな楽譜・小〜中編成のスコアを作成する使い方であればAllegroで必要十分だと思う。実用面でやりたいことはAllegroでほぼ出来る。そういった楽譜に対しては、Finaleだとマシンパワーも必要だし機能もやや過剰(オーバースペック)でコストパフォーマンスが良くない、と感じる。

*1:Allegroは手軽に使えて気に入っていたのに開発停止になって新バージョンが出なくなり、所属している団体のメンバーがFinaleシリーズの新バージョンを使用しはじめたりして互換性を確保できなくなった……といったことが主なFinale切り替えの理由である。以前のFinale乗り換えキャンペーンで安く買っていたのだけれど、PCが非力だったためインストールできないまま持っていた。

*2:FinaleでもAllegroと同じ「SmartMusicSoftSynthe」を使うこともできる。その場合はAllegroと同じ音になる

*3:「私を泣かせてください」の編曲…cf. http://kanaken.g.hatena.ne.jp/kamome711/20090706/1246853734

*4:マンドリンクラシックギター撥弦楽器の音は、シンセサイザーで再現するのが難しいようである