CD『ALTUS アルタス 奇跡の声 カストラートからカウンターテナーまで』
- アーティスト: オムニバス(クラシック),ブレット(チャールズ),エヴェラ(エミリー・ヴァン),ジャルスキー(フィリップ),ダニエルズ(デイヴィッド),レブランク(スージー),レーヌ(ジェラール)
- 出版社/メーカー: EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)
- 発売日: 2009/03/11
- メディア: CD
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日常から離れて ─精緻な技巧、豊かな声量
今、話題のオムニバスCD。
男性が女性の声域で歌うカウンターテナー。ボーイソプラノを維持するために去勢された男性歌手「カストラート」*1。主に中世やバロック、またロマン派の歌を彼らの歌声で聴くことができる。
彼らの声は、女声とはまた違うのがなんとも不思議で、魅力的だ。女性独特の「色気」、まろやかさは無いように思う。しかし完全にコントロールされて精緻な技巧がこらされ、声量は豊か、柔らかでおおむね女声より太く、なんというかこの世─世間─に存在しないもの(存在しているのだが!)、天上に上っていく音楽のようにも思える。このCDで浮世を忘れたひと時を過ごせるように思った。
このCDには記録に残る歴史上「最後のカストラート」といわれるアレッサンドロ・モレスキ(1858年〜1922年。wikipedia:アレッサンドロ・モレスキ)の1902年の録音も収録されている。音質は悪く、また彼自身の全盛期は過ぎていると思われる。決して良い歌唱ではないが、感慨深いものがある。
カストラート
カストラートについては、最も優れたカストラートとして語られる”ファリネッリ”ことカルロ・ブルスキ(1705年〜1782年。wikipedia:カルロ・ブルスキ)の生涯を描いた映画『カストラート』が興味を満たしてくれ、面白かった。映画の中で音楽をたっぷり聴けるのも良い。
- 香雪日録:2007-01-04(木) 23:22[友引]:仕事始め、映画『カストラート』…以前書いた、この映画の感想。
- http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0631.html…本作のノベライゼーションの書評、松岡正剛の千夜千冊『カストラート』アンドレ・コルビオ
収録曲
- シューベルト:アヴェ・マリア(デイヴィッド・ダニエルズ)
- ヘンデル:歌劇「セルセ」より 私の愛するプラタナスの木に〜オンブラ・マイ・フ(ジェラール・レーヌ)
- マルティーニ:愛の喜び(デイヴィッド・ダニエルズ)
- シューベルト:水の上で歌う(デイヴィッド・ダニエルズ)
- ボノンチーニ:愛らしい瞳〜カンタータ「今や愛の季節が」より(ジェラール・レーヌ)
- ポルトガル古謡:世を統べる聖母よ(ジェラール・レーヌ)
- ペルゴレージ:「スターバト・マーテル」より スターバト・マーテル(悲しみの聖母)(ジェラール・レーヌ)
- レグレンツィ:アヴェ・レジーナ・チェロールム(フィリップ・ジャルスキー)
- J.S.バッハ:マニフィカトより そのあわれみは(フィリップ・ジャルスキー)
- J.S.バッハ:ミサ曲 ロ短調より アニュス・デイ(チャールズ・ブレット)
- ヘンデル:「メサイア」より 彼は侮られて(ジェイムズ・ボウマン)
- ヴィヴァルディ:歌劇「ジュスティーノ」より この喜びをもって会おう(フィリップ・ジャルスキー)
- ヘンデル:歌劇「エジプトのジュリオ・チェーザレ」より 私は涙するために生まれてきた(デイヴィッド・ダニエルズ)
- モンテヴェルティ:歌劇「ポッペアの戴冠」より ただあなたを見つめ(デレク・リー・レイギン)*2
- 伝ロッシーニ:猫の二重唱(ジェラール・レーヌ)
- グリーンスリーヴス(アルフレッド・デラー)
- ロッシーニ:「小荘厳ミサ曲」より 十字に架けられ(ボーナス・トラック)(アレッサンドロ・モレスキ)