DVD『桑田佳祐 Act Against AIDS 2008 「昭和八十三年度! ひとり紅白歌合戦」』素晴らしかった。
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2009/03/25
- メディア: DVD
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昭和の歴史的流行歌 全61曲をノーカット完全収録!!
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2008年11月30日、12月1日&2日の3日間、パシフィコ横浜にて行われた、桑田佳祐Act Against AIDS コンサート2008『昭和八十三年度! ひとり紅白歌合戦』を余すところなく完全収録!
1940年代から2000年代までの、歴史に輝く数多くの歌手が残してきた日本の流行歌を桑田佳祐がひとりで唄い繋く、しかも、超強力なビッグバンドを率いてのまさに紅白をさながらいや、それをも凌ぐユーモアあふれる”ひとり”紅白 で観客を魅了した壮大かつ見事なザッツ・エンタテインメントショウ!
昭和歌謡! 素晴らしい! むちゃくちゃ良いですよ。
まさに昭和の歌謡史ここにあり。歌謡曲の魅力と素晴らしさと、桑田佳祐のシンガー、ボーカリストとしての力量を改めて知ることが出来た。
歌の持つ力
収録されているのは昭和生まれの人(まあ30,40歳代以上)なら誰でも知っているだろう、「戦後昭和の名曲」ばかり(一部、平成の曲もあるけれどもそれらもいずれ名曲として歌謡史に刻まれそうなものなのだ)。それらをバンドやアコースティック、フルバンドといったさまざまな形式の贅沢なバックバンドの生演奏サウンド(クオリティ高し)で、桑田佳祐が歌いまくる。
各曲の編曲はたぶん、オリジナルを踏襲したものだ(あと、ほんの少し現代風味を足して音を厚くしてあるところもあるのかな*1)。それらが現代の音響・録音・映像でブラッシュアップさせて演奏されるなかで、どの曲も
- 今、聴いても、
- 今、歌われ演奏されても
耐えられる力強さ、楽曲と詞のその歌ならではの個性、魅力があるのを再認識させられる。つまり、やはり名曲なのだ。名曲とはこういうものなのだ。
桑田佳祐の力量
そして、桑田佳祐の歌。
ほんの少しのおちゃらけ、ほんの少しのオリジナル歌手の物まね(ふりや、母音の発声の仕方など)はあるが、それでもほとんどすべての歌*2が桑田佳祐自身によって飲み込まれ解釈されて吐き出された、彼自身の歌となっているのだ。彼がどういう思いや気持ちで歌っているか。それぞれの歌の魅力、ひだ、陰影が浮かび上がってくる。シンガー、ボーカリストとしての彼の力量を改めて知ることが出来たし、歌手が歌うということがどういうことか気づかされる思いがした。
ちなみに、(彼の歌い方でよく問題にされるところである)歌詞については、明確に、はっきり聞き取れる。DVDのメニューで歌詞字幕を表示することも出来る。
必見、必聴!
桑田佳祐やサザンのファンなら当然、購入を考えられるだろうが、昭和(や平成)の歌謡曲・J-POPファンは買うべし。わたしのような中島みゆきファンも、「時代」一曲のためにでも買う価値ありかもしれない。……わたしは桑田佳祐やサザンオールスターズの特にファンというわけではないのだが、以前にテレビでちらっと見かけたAAAコンサートの映像、「あの鐘を鳴らすのはあなた」(和田アキ男として歌っているのだが、決しておふざけだけじゃないんだなあ)の歌声が頭から離れずにいて、DVD発売を知って予約したのだった。まさにその期待は裏切られることなく、というよりもそれ以上で、心から満足し、堪能している。
収録曲
【全61曲】
- サン・トワ・マミー:越路吹雪 (1966)
- 青い山脈:藤山一郎 (1949)
- コーヒー・ルンバ:西田佐知子 (1961)
- 上を向いて歩こう:坂本 九 (1961)
- 君だけに愛を:ザ・タイガース (1968)
- 恋の季節:ピンキーとキラーズ (1968)
- 君に会いたい:ザ・ジャガーズ (1967)
- 恋のハレルヤ:黛 ジュン (1967)
- ブルー・シャトウ:ジャッキー吉川とブルー・コメッツ (1967)
- 太陽は泣いている:いしだあゆみ (1968)
- 風が泣いている:ザ・スパイダース (1967)
- 夕陽が泣いている:ザ・スパイダース (1966)
- 真赤な太陽:美空ひばり (1967)
- 学生街の喫茶店:GARO (1972)
- 五番街のマリーへ:ペドロ&カプリシャス (1973)
- 心の旅:チューリップ (1973)
- あの日にかえりたい:荒井由実 (1975)
- さよならをするために:ビリー・バンバン (1972)
- シルエット・ロマンス:大橋純子 (1981)
- ルビーの指環:寺尾 聰 (1981)
- 時代:中島みゆき (1975)
- いいじゃないの幸せならば:佐良直美 (1969)
- さらば恋人:堺 正章 (1971)
- 経験:辺見マリ (1970)
- 空に太陽がある限り:にしきのあきら (1971)
- 終着駅:奥村チヨ (1971)
- 長崎は今日も雨だった:内山田洋とクール・ファイブ (1969)
- 他人の関係:金井克子 (1973)
- 君といつまでも:加山雄三 (1965)
- だまって俺について来い:ハナ肇とクレイジーキャッツ (1964)
- スーダラ節:ハナ肇とクレイジーキャッツ (1961)
- ハイ それまでョ:ハナ肇とクレイジーキャッツ (1962)
- ふりむかないで:ザ・ピーナッツ (1962)
- 可愛い花:ザ・ピーナッツ (1959)
- 情熱の花:ザ・ピーナッツ (1959)
- 恋のフーガ:ザ・ピーナッツ (1967)
- 恋のバカンス:ザ・ピーナッツ (1963)
- LOVE LOVE LOVE:DREAMS COME TRUE (1995)
- ロビンソン:スピッツ (1995)
- 襟裳岬:森 進一 (1974)
- 舟唄:八代亜紀 (1979)
- SWEET MEMORIES:松田聖子 (1983)
- 3年目の浮気:ヒロシ&キーボー (1982)
- いい日旅立ち:山口百恵 (1978)
- 現代東京奇譚:桑田佳祐 (2007)
- 少女A:中森明菜 (1982)
- 愚か者:近藤真彦 (1987)
- 狙いうち:山本リンダ (1973)
- 情熱の嵐:西城秀樹 (1973)
- 渚のシンドバッド:ピンク・レディー (1977)
- 勝手にしやがれ:沢田研二 (1977)
- キューティーハニー:倖田來未 (2004)
- GOLDFINGER'99:郷 ひろみ (1999)
- 時の流れに身をまかせ:テレサ・テン (1986)
- 涙そうそう:BEGIN (2000)
- もらい泣き:一青 窈 (2002)
- タイガー&ドラゴン:CRAZY KEN BAND (2002)
- ラヴ・イズ・オーヴァー:欧陽菲菲 (1982)
- また逢う日まで:尾崎紀世彦 (1971)
- 魅せられて:ジュディ・オング (1979)
- あの鐘を鳴らすのはあなた:和田アキ子 (1972)
個人的には
どの曲も良かったのだけれども、個人的には「時代」*3には心から感動した。曲の持ち味、歌の大きさ、追悼の思いと生きている者の未来への気持ち等々が存分に表現しきられており、泣けてしまった。
他には「あの鐘を鳴らすのはあなた」「ルビーの指環」「シルエット・ロマンス」「長崎は今日も雨だった」「渚のシンドバッド」「勝手にしやがれ」「少女A」「魅せられて」が、それぞれの楽曲の素晴らしさ、歌の魅力がとりわけにじみ出ていたように思った。また、堺 正章の「さらば恋人」は(想像されるとおり)桑田佳祐の声にとてもよく合っていたと思う。
*1:さらに、丁寧な演奏によって、曲のおおもとのルーツ─ブルース、ビートルズなどなど─が明確に浮かび上がってくるものもなかにあって、非常に興味深かった。
*2:実は数曲、彼以外のシンガーが登場する
*3:「♪そんな時代もあったねと いつか話せる日がくるわ」「♪まわるまわるよ 時代はまわる」といったさまざまな印象的なフレーズが織り込まれており、くじけかけた人、悲しい人への慰めともなる優しさ、さらに輪廻転生的な世界観にもつながる壮大な歌。作詞・作曲:中島みゆき。「第10回ポピュラーソング・コンテスト」「第6回 世界歌謡祭」グランプリ受賞曲。歌詞…http://miyuki-lab.jp/disco/lyric/ba011.shtml参照。