雪街音楽メモ

聴いた音楽、気になった音楽、音楽の話題など、音楽のある日常を書きました。

CD『ベスト・オブ・ニューイヤー・コンサート』ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

本年もよろしくお願いいたします。

ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートを数々の指揮者で楽しむ。

このCDは2枚組全27曲で、以下の9人の指揮者によるウィーン・フィルの演奏が収められている。

ライヴ録音ではない演奏でも曲の最後にはすべて拍手が追加されており、CDとして一体感を持って楽しめるようになっている。ただ、指揮者によって収録曲目・曲数にばらつきがあること(カラヤンが一番多い)や、名演といわれた回のもの(クライバー指揮のニューイヤー・コンサート等)などは入っていないといったことなどから、ベスト盤というより、

  • シュトラウス一族のポピュラーな名曲を一通り聴いてみたい
  • そんな名曲を、数々の指揮者のそれぞれの持ち味の演奏で聴いてみたい

といった向きにおすすめではないかと思う。同じウィーン・フィルでも指揮者によってちょっとずつ音が違って聴こえる─もちろん同じオケなのでまったく違うわけではないし、演奏テクニックは最高水準なのだが─。なぜ同じフィルで音が違って聴こえるのか? それは指揮者の指示(解釈)によるものだが、「指揮者の役割って何?」と思っておられる方には不思議なことかもしれない。

ボスコフスキー指揮の曲は、往年のいわゆる「ウィンナ・ワルツ」としてイメージするならまさしくこういうもの、雛形の感じがする。独特のリズム感(三拍子を均等に『タンタンタン』ではなく『タターンタ』というように)がはっきり聞き取れ、滑らかで、すっきりしてちょっと硬い気もする端正な(しかしちょっと退屈な気もする……というのはわたしはあまりウィンナ・ワルツが好きではないからだろう)、とても高い水準の演奏。きっと「ウィーンらしい」んだろうなあと思う。

カラヤン指揮曲は豊かな気分を味わわせてくれる、「器の大きな演奏」という感。繊細さもたっぷり演奏して表現できるということを勉強させてくれる。

小澤征爾指揮の演奏の素晴らしさ

ほか、どの演奏もそれぞれに良く、個人的には大変楽しめたのだが、中でも小澤征爾指揮のものは改めてこういう形で聞き比べてみても素晴らしい。非常に洗練されていて、音色は上品かつ美しく、かつ華やか、リズムも自然に流れていく。ウィーンの土着性(?)というよりも国際都市ウィーンという感じだろうか。

収録曲

Disc 2
  1. ワルツ「ウィーン気質」op.354(ヨハン・シュトラウス2世)
  2. 行進曲「フランツ・ヨーゼフ1世万歳」op.126(ヨハン・シュトラウス2世)
  3. ポルカ「浮気心」op.319(ヨハン・シュトラウス2世)
  4. ポルカ「ブレーキかけずに」op.238(エドゥアルト・シュトラウス)
  5. ワルツ「天体の音楽」op.235(ヨーゼフ・シュトラウス)
  6. ピツィカート・ポルカ op.449(ヨハン・シュトラウス2世&ヨーゼフ・シュトラウス)
  7. ワルツ「水彩画」op.258(ヨーゼフ・シュトラウス)
  8. ポルカ「飛ぶように急いで」op.230(ヨーゼフ・シュトラウス)
  9. ワルツ「春の声」op.410(ヨハン・シュトラウス2世)
  10. エジプト行進曲 op.335(ヨハン・シュトラウス2世)
  11. アンネン・ポルカ op.117(ヨハン・シュトラウス2世)
  12. ワルツ「ウィーンの森の物語」op.325(ヨハン・シュトラウス2世)
  13. ポルカ「休暇旅行で」op.133(ヨーゼフ・シュトラウス)
  14. ポルカ「憂いもなく」op.271(ヨーゼフ・シュトラウス)
  15. ラデツキー行進曲op.228(ヨハン・シュトラウス1世)