宝塚歌劇団星組公演『太陽王 〜ル・ロワ・ソレイユ〜』観劇メモ
- 宝塚歌劇団星組公演 ミュージカル『太陽王 〜ル・ロワ・ソレイユ〜』 Le Spectacle Musical ≪Le Roi Soleil≫
2005年にパリで初演されたフランス・ミュージカル『太陽王』は、17世紀のフランス国王ルイ14世=太陽王の生涯を、彼の恋愛に焦点を当てながら、流麗なフレンチロックに乗せてダイナミックに描いたスペクタクル・ミュージカルです。
Wikipedia:Le Roi Soleil 宝塚初演、日本初演。脚本・演出/木村 信司- 404 Not Found | 宝塚歌劇公式ホームページ
- 宝塚歌劇星組公演 ミュージカル 『太陽王 〜ル・ロワ・ソレイユ〜』 | ラインナップ | 東急シアターオーブ|TOKYU THEATRE Orb
2014年5月31日、東急シアターオーブで観劇。
朕は国家なり、が決め台詞で出てくる。ルイ14世が絶対王政で君臨しながら(その君臨の背景には王族でも反乱側にたつ者がいることなどからの人間不信がある。決断は自分一人でしろというマザランが死に際して王に残した言葉でもある)私生活では自分を理解できずおさめられず女遍歴、という話で、愛の歌をけなげに歌い上げるルイ14世に泣けてしまった。
ルイ14世を演じる柚希礼音さんが黄金の衣装をまといバロックダンス風のダンスを踊るのは鮮やかで、特にラストのポーズが心に残る。ムッシュー(王弟、オルレアン公フィリップ)を演じた紅ゆずるさんも軽薄明朗な役柄を美しく軽やかに演じつつ怯えや弱さ、コンプレックスを見せてくれて面白かった。
参考
- ごく短く小さいサイズにて公演動画あり
- 公演のより詳しいレポートや写真等
オリジナルとの比較
ストーリーや歌・音楽、衣装、ダンスなどはオリジナルにわりに忠実、舞台美術・装置はだいぶん違った(宝塚のほうがシンプル)が、ちょうどオリジナルのこの場面(38分過ぎから。ルイ14世が戦場で倒れ、危篤に陥るところ)は宝塚版でも構図や歌を丁寧になぞっている。
「死せるキリスト」、絶対王政、三位一体
このルイが寝かされているポーズ、観客と正対するベッドなどから、私はアンドレア・マンテーニャの「死せるキリスト」が即座に頭に浮かんだんだけど、
"Andrea Mantegna 034" by アンドレア・マンテーニャ - The Yorck Project: 10.000 Meisterwerke der Malerei. DVD-ROM, 2002. ISBN 3936122202. Distributed by DIRECTMEDIA Publishing GmbH.. Licensed under Public domain via ウィキメディア・コモンズ.
また、洗礼者ヨハネなどのタームも出てきており、このミュージカルには神、キリスト教、の要素がやはり組み込まれていたわけで、しかしそのあたりは私の知識が乏しく理解が行き届かない。
- 絶対王政での王を神と人との間に位置する人、とか、ルイ14世イコール、神の子イコール神(三位一体)とか
- 洗礼者ヨハネ云々は、モンテスパン夫人がヘロディアまたはサロメに重ねられているのかな、と思えた。洗礼者ヨハネに振り向かれなかったヘロディアは腹いせに娘サロメにヘロデ王の前で躍らせ王からの褒美にヨハネの斬首を願わせる……?
というふうに(少なくとも現段階の私には)手が届かない・把握できない内容が多々あってそれが悔しくもあり、非常に興味深いミュージカルだった。