雪街音楽メモ

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楽譜作成ソフトウェア「Finale」の楽譜サウンドプレイバック機能「Human Playback」音の比較

Finale 2009

Finale 2009

Allegro2007

Allegro2007

楽譜作成ソフトウェア「Finale」の楽譜サウンドプレイバック機能「Human Playback」音の比較…「Finale」 vs. 同じシリーズの下位ソフト「Allegro」

のその後。
先日iMacに買い換えたことでやっとFinaleの動作環境の条件に達し(それまでのPCは条件を満たしていなかった……)、編曲などに使う楽譜作成ソフトを「Allegro 2007」から、「Finale 2009」に切り替えた*1


さて、「Finale」「Allegro」とも、

という、作成した楽譜を実際に演奏者が演奏したようなニュアンスを反映させてプレイバックする機能が備わっている。このプレイバック機能は以前にも書いたように、楽譜を書きながら都度、目からだけでなく耳でも確認できるため、たいへん重宝している。

音の比較

その「Human Playback」の楽譜からの再生サウンドを、使用する音源を変えてFinaleとAllegroで比較してみたい。

  • Finale…Finale独自機能の、サンプリングライブラリ音「Garritan Instruments for Finale」を使用*2
  • Allegro…「Human Playback」付属のソフトシンセ音、「SmartMusicSoftSynthe」を使用。

使った楽譜は、どちらもヘンデル「私を泣かせてください」Lascia ch'io pianga を自分でマンドリン・ギターアンサンブル用に編曲したもの*3。ソロ+マンドリン+マンドラ+マンドロンチェロ+ギターの編成で、その各パートの音をソフトシンセの音で聴きやすいよう下記の通り変更している*4ものの、基本的には両者とも同じ楽器の種類の組み合わせである。

  • ソロ(メロディー)…両者とも「フルート」
  • マンドリン、マンドラ、マンドロンチェロ…「Finale」のほうは該当パートごとにヴァイオリン・ヴィオラ・チェロと音を変えて指定。「Allegro」は各パートを別チャンネルに分けた上で同じ「ストリングス」音を指定。
  • クラシックギター…両者とも「ハープ」

また、

  • 楽譜は両者同じものを利用し、強弱なども含め変更はしていない。
    • 「Allegro 2007」で作成し、「Finale 2009」ではコンバートして使用。
  • 演奏の様式としてすべて「バロック様式」を指定し変更無し。
  • 音源の違いにあわせて若干パート間のバランス(ミキシング)とリバーブを変更している。
サラ・ブライトマンイージーリスニングっぽい「私を泣かせてください」
  • Finale

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  • Allegro

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バロック風「私を泣かせてください」
  • Finale

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  • Allegro

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Garritan(ガーリタン)の音を使ったFinaleの演奏の方が生き生きしていて力強い。が、Allegroの音でも楽譜の確認したりさらっと普通に聴く分には十分かと思う。逆に、人工的な面白さがあるというか。

楽譜作成ソフトとしての個人的評価

基本的な機能や操作感は、AllegroとFinaleはほぼ共通している—これはFinaleシリーズすべてに言えることで、だからソフトをバージョンアップしてもあまり戸惑うことなく使えるのだと思う—。プラスアルファの便利さや細かい付加機能はさすがにFinaleが優れているし、たとえばモニター上に見えていれば複数ページの編集が同時に可能であることは直感的で作業がはかどる。大編成のスコアや複雑な体裁の楽譜もFinaleのほうが作りやすそうだ。再生機能などで「遊べる」部分もたくさんあり、あれこれいじるのにはFinaleが楽しい。
が、シンプルな楽譜・小〜中編成のスコアを作成する使い方であればAllegroで必要十分だと思う。実用面でやりたいことはAllegroでほぼ出来る。そういった楽譜に対しては、Finaleだとマシンパワーも必要だし機能もやや過剰(オーバースペック)でコストパフォーマンスが良くない、と感じる。

*1:Allegroは手軽に使えて気に入っていたのに開発停止になって新バージョンが出なくなり、所属している団体のメンバーがFinaleシリーズの新バージョンを使用しはじめたりして互換性を確保できなくなった……といったことが主なFinale切り替えの理由である。以前のFinale乗り換えキャンペーンで安く買っていたのだけれど、PCが非力だったためインストールできないまま持っていた。

*2:FinaleでもAllegroと同じ「SmartMusicSoftSynthe」を使うこともできる。その場合はAllegroと同じ音になる

*3:「私を泣かせてください」の編曲…cf. http://kanaken.g.hatena.ne.jp/kamome711/20090706/1246853734

*4:マンドリンクラシックギター撥弦楽器の音は、シンセサイザーで再現するのが難しいようである