雪街音楽メモ

聴いた音楽、気になった音楽、音楽の話題など、音楽のある日常を書きました。

村上春樹エルサレム賞受賞スピーチ

村上春樹エルサレム賞授賞式(2009/2/15)での講演内容。氏本人によるスピーチは英語で行われた。

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)

*1:わたしは神戸育ちで(小学校卒業までは神戸高校の近くに住んでいた)、今回のスピーチで村上春樹氏が─これまでになく─言及されているお父上の村上千秋先生に神戸のとある予備校で国語(古典)を習ったのが、わたしが村上春樹をきちんと読み始めたきっかけになっている。6月頃だったか、村上先生は授業を中断し、名前を伏せて息子の話を始められた。幼少時代の息子のほほえましいエピソード(そのなかには息子からポニーをねだられた─そしてさすがにそれは買ってあげられなかった─というエピソードもあった。ほしがったものは結構、買い与えていたとおっしゃっていたように記憶している)、息子は頑固だった(というより何かほしかったときには意志がかたかった)ということ、テーブルに日本文学や古典が山積みになっていたような自宅だったが息子は高校時代から洋書を読み始めたこと、早稲田大学に入ったが数年かけて卒業し、店をはじめたりし……など。先生は最後に「今は作家をしている」その息子とは「村上春樹だ」と名前を明かされた。人にはいろいろな道がある、浪人したからといって諦めるな、といったような励ましだった。

*2:壁と卵といわれればとりあえずはハンプティ・ダンプティがぱっと思い浮かぶが、壊れやすい「殻」に守られた「卵」、しかしやがて鳥になるもの(『壁』を飛び越えるかもしれぬ存在)であるとも思ったりする。